減圧症とは
減圧症とは、高圧力下で細胞に溶けた不活性ガス(窒素)が減圧とともに過飽和化となり気泡化し、その気泡が体に害を及ぼす(あってるかな?)症状です。まあ、炭酸飲料のジュースをふって、フタをあけると泡がでてくるのと原理は一緒です。
どの資料を見ても気泡がどのようにして体に害を及ぼすか明確な説明がないのでいろいろ調べてみると、気泡による動脈の閉塞機転,気泡が集積することによる血流の鬱滞,気泡による組織の圧排あるいは破壊,気泡の刺激による各種伝達物質の放出など様々な説があるらしい。
減圧症に関しては減圧症の発症が気泡あるいは過飽和が関与していることは間違いないものの、その実態はまだ解明されていないと言うことだ。
減圧症と動脈空気塞栓症を合わせて減圧障害(Decompression Illness, DCI)とも言います。
減圧症の種類
減圧症には症状によって5種類に分けられます。
- 0型:皮膚症状
- ?型:関節痛・筋肉痛
- ?型:中枢神経症状(脊髄・神経麻痺)・呼吸器循環器症状
- ?型:内耳損傷
- ?型:骨損傷
ちなみに私は?型。東京医科歯科大学の資料によるとレジャーダイバーの場合?型と?型の割合は2:8で圧倒的に2型が多いらしい。また?型の40%の患者が?型の症状もともなっているという事だ。原因も大半が急浮上らしい。気をつけないと。
症候
- 普通見られる症候: 関節・関節付近の痛み・不快感 – むずむずした感じ – 脱力感 – 倦怠感 – 無気力 – しびれ感 – 胴・胴体・背中の痛み
- 注意深く経過観察が必要な症候: 皮膚に斑点ができる – かゆみ – はれ
- 重大な症候: 頭痛 – 意識不明 – まひ – めまい – 大便・小便のコントロール不能 – 排尿困難 – 平衡感覚喪失 – 運動失調 – 視覚障害 – 錯乱 – 痙攣 – 胃痙攣 – 聞こえない – 耳鳴り – せき – 息切れ – 下痢・血便 – 吐血 – 死亡
減圧症の自己チェック
山見先生の話によると、裁縫で使うルレットと携帯用即冷パック(ヒアロンなど)を利用すると簡単に減圧症をチェックできるようだ。
- ルレットとヒアロンを用意する
- ルレットで手や足をなるだけ胴体に近いところから触る – 判断:触った感覚が鈍かったり、左右差があれば異常
- ヒアロンを手と足にあてる – 判断:あまり冷たくないと感じる部位があれば異常。冷たさを遅れて感じるようであれば異常
高所移動について
DAN JAPANによると、伊豆半島から東京方面で高所移動となる帰宅ルートは以下のとおり
- 東名 御殿場付近 標高400m以上
- 箱根から乙女峠 標高1000m以上
- 国道1号線 箱根 標高800m以上
- 西伊豆スカイライン 標高800m以上
- 国道136号線 船原峠 標高400m以上
- 国道414号線 天城峠 標高800m以上
西伊豆から東京へは電車で帰る以外はどこを通っても高所移動になりそうだ。注意が必要。
(西伊豆から帰るとき最も安全とされるルートは大瀬崎方面から三島まで行き新幹線で帰るルート)
(図はカシミール3Dにて作成。[赤] 標高800m以上、[濃い緑] 標高400m以上)
山見先生の論文によると、
- 潜水終了後2-5時間のうちに標高400m以上の高所を移動すると、減圧症にかかるリスクは高くなる。
- 高所移動後に減圧症が発症したダイバーについて、発症時間を見ると、最高の標高を通過した後、平均約5.5時間してから発症している。すなわち、高所移動中又は直後に発症するとは限らない。
- 高所移動後に減圧症が発症した症例について、アメリカ海軍の標準空気減圧表の反復テーブル記号を調べると、潜水終了時点の記号が、「A」から「F」のダイバーは一人もいない(26人中0人)。このことから、潜水後に高所を移動するダイバーは、潜水終了時点の反復グループ記号が「F」より若い記号になるような潜水計画を立てることが望ましいと考える。
- 高所移動後に発症した減圧症と、高所移動せずに発症した減圧症を比較すると、高所移動側のほうに脊髄障害が多く見られる。
治療
現在のところ高圧チャンバーに入り、気泡化した窒素を再度血液中に溶かし、純酸素を吸いながら時間をかけて窒素を排出すること以外ないということだ。
窒素を排出し終えた後も、細胞組織が損傷しているので、それが治癒するまでしばらくはダイビングはできない。
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